今回は帰化人とは何か、日本に漢字が伝わったのはいつ頃のことなのか、
日本に仏教が伝わったのはいつ頃のことなのか?
この3点について、日本の歴史を紹介します。


大和の国は朝鮮を通じて大陸の優れた文化を取り入れようとしました。
そのために朝廷ではいろいろな産物を日本に取り寄せるだけでなく学問や技術に優れた朝鮮の人々をたくさん呼び寄せました。

その中には百済の人が多く戦争を避けて日本に住み着く人もかなりありました。
こういう人々を帰化人と呼びます。

帰化人はその頃の産業や文化の発達に大きな役割を果たしました。

日本にやってきた帰化人たちは部(べ)の仕組みに組み入れられ、それぞれの持っている技術によって朝廷に仕えました。

この人々の伝えた技術は実に様々でした。

例えば蚕を飼い、糸を紡ぎ、はたを織る技術、綾や錦(どちらも布の一部)の織り方、馬のくらを作る技術、鉄の鍛え方、陶器の作り方などです。

こうして中国や朝鮮の進んだ技術がいろいろと伝えられました。

帰化人の中でも勢いのあったのは東漢氏(やまとのあやうじ)と秦氏(はたうじ)でした。
東漢氏は今の奈良盆地の南部に、秦氏は京都府に住み、それぞれの地方で大いに勢いを伸ばしました。

帰化人は技術の面ばかりではなく、学問の発達の上でも大きな役割を果たしました。
ことに大切なのは帰化人が漢字を使い、文を作るのに慣れていたことです。

もともと日本には自分の文字というものがありませんでした。

ところが朝鮮や中国と交わりを結んでいくためには漢字で書かれた文章をやり取りしなければなりません。

しかし漢文を書いたり、読んだりすることは慣れない日本人にはたいへんでした。
そこで、こういうことに慣れている帰化人がたいへん便利がられてその仕事を任されました。

大和の国の勢いが盛んになり、国の仕組みが大きくなってくると政治の仕事も簡単にはいかなくなってきます。

様々な文章を作ったり、計算をしたりする必要ができてきます。
読み書きに優れた帰化人はこの方面でも大切な働きをしました。

読み書きの面で働いたのは東漢氏や西文氏(かわものふみうじ)などでした。
また、国々から朝廷の倉庫に納められる貢物の取り扱いにも帰化人が活躍しました。

この面で有名なのは秦氏です。

こうして文章を書いたり、読んだりする仕事は初めの内は帰化人ばかりがしていたようです。
しかし、日本人も段々漢字を覚え始め実際に使うようになりました。

熊本県の江田船山古墳から掘り出された刀は、5世紀に作られたものですがこれには漢字で文が刻みつけられています。

また和歌山県の隅田八幡宮に残っている銅の鏡は六世紀初めに作られたものですが同じように文字が刻みつけられています。

このことから5世紀にはもう日本で漢字が使われていたことがわかります。
日本人が漢字を読んだり、書いたりすることができるようになったために外交や政治の仕事がすらすら進むようになりました。

そればかりではりません。漢字で書かれた書物を通じて日本人は大陸の進んだものの考え方や、学問・宗教などを学び取るようになりました。

そして、人々の暮らしが楽になり人々の考え方も進んでくると大陸の優れた思想や宗教を取り入れようとする気持ちが次第に固まってきました。

朝鮮からは様々な産物と一緒にたくさんの書物が日本に運ばれて来ました。
中国の儒教という教えもこうした書物によって日本に伝わりました。

儒教とは、孔子という人が政治をするときの心構えや立派な人間になるための行いを示した教えです。
百済からは五経博士という儒教の学者も日本に渡ってきたようです。

また、占いや暦・医術などの学者も日本に来ました。
仏教が日本に伝わったのも丁度この頃のことです。

仏教というのは紀元前5世紀の頃、インドばかりでなく北の方では中央アジアを越えて中国にまでも伝わり広く行き渡りました。

中国で広まった仏教はやがて朝鮮に伝えられ六世紀には海を渡って遥々日本にも伝わってきたのです。
仏教がいつ日本に伝わってきたのかはっきりとはわかりません。

けれども538年、百済の聖明王という国王が仏教とお経を送ってきたのがその始めとされています。
それまでの日本人はたくさんの神を信じていました。

太陽や月、山や川、雷や嵐のようなものから、鳥や獣のような動物にまでも神がいると思っていました。
八百万の神という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか?

そして神を祀り占いやまじないをしました。

そういう神しか知らなかった日本人は金色に輝く仏教を見てお経に書かれてある仏教の深い教えを聞いてどんなに驚いたことでしょう。

実際、仏教ほど日本人の考え方に大きな影響を与えた教えは他にないといってもよいでしょう。
仏教の教えは次第に深く日本人の心に入り込み、やがて飛鳥時代の見事な仏教文化を生み出したのです。




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